ON READING(名古屋市千種区/ブックショップ・ギャラリー)
ほとりプレスの創刊以来、うれしいことに続々と設置先が増えています。今回はそんな“ほとりpartners”の第三弾として、名古屋市千種区にある「ON READING」をご紹介します。
こちらは、私も大好きなブックショップ&ギャラリー。“ブックショップ”ではありますが、話題の新刊やベストセラー本が並ぶ普通の書店とは、ちょっと違うのです。
秘密の小部屋に広がる、本の海へ
地下鉄東山公園から、歩いてすぐ。通りの案内板に従ってビルの2階に上がると、看板が二つ見えてきます。手前がギャラリー、奥がブックショップ。こんなところに!? という意外なロケーションも、秘密基地へ向かうようなワクワク感を高めてくれます。
カウンターから迎えてくれたのは、ご主人の黒田義隆さんとともに店を営む、杏子さん。「感じる、考える人のための本屋」をコンセプトに、疑問に感じたり、考えるきっかけになったりするような本を新刊・古本問わずにセレクトしています。
本は、山、コーヒー、科学など、テーマ別に分類されています。たとえば「鳥」の棚には、鳥にまつわる海外の写真集や谷川俊太郎の詩集、絵本が隣り合わせに並び、「民芸」の棚には、民芸論の解説書の裏に、ヴィンテージのスイス製木彫り熊が鎮座している、といった具合。思わぬ出合いが楽しくて、普段はあまり読まないジャンルの本にまで、ついつい手が伸びます。
「意識していなくても、パッと目に留まった一冊が、実はいまの自分にとって必要なものだった、ということもよくあります。興味のアンテナを広げて、本の海で迷う時間、選ぶ楽しさを味わってください」と杏子さん。
感性を刺激する自費出版本やアーティスト作品
他ではなかなか手に入らない、国内外の自費出版本も多数取りそろえています。
写真は、ON READING BUNKOシリーズの第一弾。太宰治の短編小説『正義と微笑』を、台湾を拠点に活躍中のアーティスト・CHOU YIのオリジナルアートワークで文庫化したもの。
本と合わせてCDもセレクトされており、店内のすべてのCDを視聴できます。お気に入りの音楽があれば、読書タイムもいっそう楽しくなりそうですね。
さらに、ON READINGでは、インディペンデント・パブリッシング・レーベル“ELVIS PRESS”の名で、出版物も手掛けています。写真は、イラストレーター・田口美早紀(おたぐち)さんが、動物やスポーツをテーマに描いた作品集。
その刊行記念として、奥のギャラリースペースでは、個展が開催されていました。(現在は終了。2019年8~11月にかけて、大阪、福岡、盛岡へ巡回)
どこかユーモラスで、ふんわり、ゆるりとした空気感がたまりません。
店内には、本以外にも、オリジナルトートバッグやTシャツ、好奇心をくすぐる雑貨などが並びます。
お店とつながりのあるアーティストや作家のアイテムも。こちらは、葉山の海で採集した小石のピアス&イヤリング。
併設するギャラリーやブックイベントもチェック
ブックショップ隣のギャラリースペースでは、写真家・木村和平による作品展が開かれていました(現在は終了)。ノイズ音楽の鑑賞体験を、灯台の光にたとえたというモノクロ写真が印象的。
2019年12月にかけては、月に一度、ON READINGを会場に、全6回のブックイベント「旅する読書会」も実施中です。
展示会やイベントの最新情報は、お店のウェブサイトをチェックしてみてください。
なお、ほとりプレスは、ブックショップのチラシ&フライヤーラック内に置いていただいています。お見逃しなく! もし見当たらなければ、お店の方に声をかけてみてくださいね。
【ON READING】
写真・文:中西沙織
※情報は2019年7月取材時のものです。内容が変更になる場合がございますので、ご了承ください。